水中で楽しむダイビングで必ず行うスキルが耳抜きです。比較的簡単にできるのですが、苦手な方も少なくありません。耳抜きができているつもりでも、きちんとできていなくてトラブルにつながることもあります。
耳抜きができないとダイビングが楽しめませんので、耳抜きの方法やコツ、できないときの対処方などをご紹介します。
ダイビングで必要なスキルの耳抜きについてエレベーターで高層階に近づいたり、飛行機で上昇したりする時、耳がキーンと痛くなることはありませんか?
ダイビングでも同様に、海の中に入ると耳が聞こえにくくなったり、耳がキーンと痛くなったりします。これは水圧と水中で内側の圧力との圧力差が起こるためです。
この圧力差を解消するために必要なのが耳抜きです。水面から1メートルほどの浅瀬に潜った時に耳が押されるような違和感が起こるのですが、そのまま放っておくとさらに悪化していき違和感が強くなって痛みが起こるため、必ず耳抜きを行うようにします。
ダイビングで必要な耳抜きの方法とはダイビングの耳抜きには3種類あります。
一番オーソドックスな方法が「バルサルバ法」です。鼻をつまんで、口を閉じて鼻から空気をゆっくり出します。空気をのどから耳に送るイメージでやってください。鼻腔内の圧力が上がり、耳管が開いて中耳腔に空気が送り込まれるので、内側に引っ張られていた鼓膜が戻ります。
「フレンツェル法」は鼻をつまんだままの状態で、舌の奥を上あごのほうに持ち上げます。説明を聞くだけでは「難しそう」と思われるかもしれませんが、意外と簡単に耳が抜けるので、慣れればフリーハンドでもできるようになります。
「トインビー法」は、鼻をつまんだままツバを飲み込む方法です。ツバを飲み込むと鼻腔内の圧力が上がり、それとともに耳管が開きます。エレベーターや飛行機などに乗って耳抜きをするとき、この方法でやっている人が多いかと思います。
ダイビング中の耳抜きはタイミングが大事耳抜きで大事なことはタイミングです。耳抜きは耳がキーンとする前に、耳が押されているような違和感や耳が詰まった感覚があれば、すぐに何度も行うようにしましょう。
まずは水中に潜る前に水面で一度、そして頭を沈めたらもう一度、水深1mの時点でもう一度というように、耳がキーンとなる前にこまめに耳抜きをしてください。
耳を圧迫する水圧は水深が浅いほど変化率が大きいと覚えておいてください。水面から水深1メールへは1気圧から1.1気圧と10%も変化し、水深2mから3mへは8.3%とまだ変化が大きいので、水深5mまでは50cmごと、水深5mから10mまでは1mごとに耳抜きを行いましょう。
水深10m以降はご自身の感覚で必要に応じて行えば良いかと思いますが、耳が痛くなる前に早めに耳抜きをすることが大切です。
耳抜きがうまくできない場合はマスクが合っていない可能性も耳抜きが上手くできないという場合にチェックしていただきたいのがマスクです。
マスクは鼻が高い方でも収まるように大きめに作られているケースがあります。そのため、マスクのノーズポケットの形が自分の鼻に合っていない場合、鼻の上の方しかつまめておらず、息が漏れている可能性があります。マスクを購入する時には、しっかりと鼻がつまめるかを確認してください。
ただし、そのマスクを使用しないといけない場合には、正面からではなく少し下から鼻をつまみ、つまんだ後に軽く押してみてください。または手を握って鼻の下から人差し指と中指の第二関節で押さえるとしっかりと鼻をつまむことができます。
ダイビング中に耳抜きが上手くできない場合の対処法をチェック潜降中に耳抜きが上手くできない場合にパニックになる方がいますが、慌てず対処法を実行すれば大丈夫です。
上手く耳抜きができない場合は、ハンドサインで耳を指さしてその後に手のひらを横でヒラヒラさせます。すると耳が痛い、耳抜きができていないことがバディやインストラクターに伝わります。深く潜ると余計に耳抜きが上手くできなくなるので、耳が痛くないところまで浮上して耳抜きを行いましょう。
また、片方の耳だけ耳抜きができないこともあります。そんな時は耳抜きをしたい方の耳を上にして首を傾けると、空気が上にあがるので耳抜きがしやすくなることもあります。そのままの姿勢でもう一度耳抜きを行ってください。
それでも耳抜きができない場合は無理をしないでください。鼓膜が破れることや中耳が傷つくことがあるからです。
耳抜きが上手くできない場合は、アレルギーなどで鼻から鼓膜までの耳管が詰まっていることもあるので、ダイビングの2週間前から耳鼻科や咽喉科で抗生物質を処方してもらうなど調子を整えておきましょう。
ほかには、内耳の炎症を治療する目的で開発されたオトヴェントを使えば安全に耳抜きの練習ができます。取り扱っている耳鼻科や通販で購入すれば、ダイビングの前に耳抜きの練習ができます。
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